「取れない」の原因は、2つの系統に分かれます
建設業許可が取れない原因は、大きく2つに分かれます。対処の方法がまったく違うため、まずご自身がどちらのタイプかを見極めることが出発点になります。
- 欠格要件に該当している……役員の前科・破産・許可の取消歴など。原則として「時間」が解決します。決められた期間が過ぎれば、申請できるようになります。
- 要件が不足している……経管5年の経験・専任技術者・財産要件500万円など。こちらは「準備」が解決します。人・書類・お金を整えれば、申請への道が開けます。
つまり、どちらの場合も「一生取れない」わけではありません。大切なのは、いつになれば取れるのか(起算点)と、それまでに何を準備するかを正確に知ることです。順に見ていきましょう。
欠格要件に該当するケース——「いつになれば取れるか」で考える
欠格要件とは、建設業法第8条が定める「この状態にある間は許可を受けられない」という項目のことで、大阪府の手引きにも一覧が掲げられています。ここでは、ご相談の多いものを「いつになれば取れるか」という視点で整理します。
役員に前科がある場合
まず、禁錮以上の刑に処せられた場合は、罪名を問わず、刑の執行を終わった日(または刑の執行を受けることがなくなった日)から5年を経過するまで、欠格要件に該当します。
一方、執行猶予付きの判決だった場合は、猶予を取り消されることなく猶予期間を満了すれば、その時点で欠格要件に該当しなくなります。満了後にさらに5年待つ必要はありません。
そして罰金刑は、すべてが対象ではありません。対象になるのは、建設業法のほか、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任など、暴力団関係の法令、建築基準法・労働基準法といった一定の法令に違反した場合に限られます(該当する場合は、刑の執行を終わった日などから5年)。たとえば交通違反による罰金は、この一覧には含まれていません。「罰金歴があるから絶対に無理」と思い込んで諦めていた方が、実は申請できた——というケースは珍しくないのです。
自己破産した場合
欠格要件に当たるのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です。裏を返せば、復権すれば該当しません。自己破産では、多くの場合、免責許可の決定が確定した時点で復権します(破産法第255条)。破産の経験そのものが、一生の障害になるわけではないのです。
許可の取消しなどを受けた場合
不正の手段で許可を受けたなどの理由で許可を取り消された場合は、取消しの日から5年間、欠格要件に該当します。取消処分を逃れるために廃業の届出をした場合や、その通知前60日以内に役員だった方には、廃業の届出の日から5年の制限が及ぶ仕組みです。このほか、営業停止・営業禁止の期間中であることや、暴力団員である場合(暴力団員でなくなった日から5年)なども欠格要件に含まれます。
審査の対象は、社長おひとりではありません。常勤・非常勤を問わず役員全員のほか、相談役・顧問や、総株主の議決権の100分の5以上を持つ株主なども、法人への支配力の程度によっては「役員等」として審査の対象になり得ます。おひとりでも該当者がいると、会社として許可を受けられません。逆に言えば、該当する方が実質的にも経営から離れることで、道が開ける場合があります。
いずれの場合も、最初にすべきことは起算点の確定です。判決の内容(刑の種類・執行猶予の有無)、刑の執行を終えた日、復権の時期が分かる資料を確認すれば、「あと何年何か月で申請できるか」がはっきりします。カレンダーに印を付けて、その日に向けた準備を始めましょう。
要件不足で取れないケース——こちらは「準備」で解決できます
2つ目の系統は、欠格ではなく、許可の要件を満たせない・証明できないケースです。代表的なのは次の3つです。要件の全体像は建設業許可の5つの要件のページにまとめています。
経管の経営経験5年が証明できない
経営業務の管理責任者(経管)には、原則として建設業の経営経験5年以上が必要です(役員に準ずる地位なら5年、経営業務を補佐した経験なら6年)。つまずきの多くは、「経験はあるのに、書類で証明できない」パターンです。
たとえば法人の役員としての経験なら、①その会社の毎年分の確定申告書、②工事内容・工期・請負金額が分かる工事の契約書・注文書・請求書等、③役員だった期間が分かる商業登記簿謄本——を重ね合わせ、すべてが重なった期間だけが経験年数として認められます。工事の書類は毎年分を確認され、工事と工事の間隔が1年以上空くと、その間の別の実績も求められます。
書類が足りないときは、取引先や元の勤務先に控えの提供を依頼する、税務署に開示請求して確定申告書の写しを取り寄せるといった集め直しのほか、証明しやすい別の方を経管に立てる(要件を満たす方を役員に迎える)という選択肢もあります。あと何年で5年に届くのかを数えておくことも大切です。くわしくは経営業務管理責任者(経管)とはをご覧ください。
専任技術者がいない・実務経験10年が証明できない
営業所には専任技術者(現在の大阪府の手引きでは「営業所技術者等」。以下、専技)が必要です。①施工管理技士などの資格を持っている、②指定学科を卒業して3〜5年の実務経験がある、③10年以上の実務経験がある——のいずれかで要件を満たしますが、実務経験は経管と同じく、工期・工事名・工事内容・請負金額が分かる契約書・注文書・請求書等で証明します。10年分の書類集めは大仕事ですから、資格の取得(合格すれば長期の経験証明が不要になるものが多くあります)や、資格をお持ちの方の採用も現実的な打開策です。くわしくは専任技術者とはで解説しています。
財産要件の500万円を満たせない
一般建設業の財産要件は、①直前の決算で自己資本(純資産)が500万円以上ある、②金融機関の預金残高証明書で500万円以上の資金調達能力を証明する、③許可を受けて5年間継続して営業した実績がある——のいずれかを満たせば足ります。
②の残高証明書は「何月何日現在」という一時点の残高を証明するもので、大阪府では、その残高日が申請日前4週間(28日)以内であることが条件です(金融機関の発行日ではない点にご注意ください)。入金のタイミングを踏まえ、残高に余裕のある日を選んで取得することができます。
なお、一時的に借入をして残高を作る方法を紹介する情報も見かけますが、この要件の趣旨は、請け負った工事をやり遂げるだけの資金力の裏付けです。返済に追われて資金繰りが崩れては本末転倒ですし、決算書の内容は更新や経営事項審査の場面でも見られ続けます。借入に頼る前に、自己資本の積み増しなど無理のない方法から検討することをおすすめします。
このほか、健康保険・厚生年金保険・雇用保険など、適用される社会保険への加入も許可の要件です。未加入の場合は、加入の手続きから始めましょう。何にどう入ればよいかは建設業許可と社会保険で詳しく解説しています。
取れない期間の正しい過ごし方——「その日」に向けて貯める
「いまは取れない」と分かったとき、その期間をどう過ごすかで、数年後のスタートがまるで変わります。建築一式工事以外なら1件500万円未満(税込)などの軽微な工事は、許可がなくても請け負えます。この期間は、将来の証明資料を貯める準備期間になります。
- 工事の書類を1件ずつ残す……契約書・注文書・請求書を、工事名・工期・工事内容・請負金額が分かる形で保管する。将来の経管・専技の証明資料になります。
- 確定申告を毎年きちんと行う……税務署の受付印や受信通知(電子申告)のある控えを保管する。経営経験の証明の土台です。
- 入金の記録を残す……請求書と、対応する通帳の入金記録をセットで保管する。
- 役員構成・株主構成を整理する……欠格要件に該当する方がいる場合の対応を検討する。
- 自己資本を積み増す……財産要件のためにも、その後の経営体力のためにも。
経験年数の水増しや書類の作り込みなど、虚偽の申請は絶対にしないでください。申請書類に虚偽の記載があれば基準を満たしませんし、不正の手段で許可を受けたことが後から発覚すれば、許可の取消し+取消しの日から5年間の欠格という、最も重い結果が待っています。数年待てば堂々と申請できたはずの道を、自ら閉ざすことになりかねません。
「取れる見込み」は、受任前に正直にお伝えします
当事務所では、無料相談の段階で、欠格要件の起算点と要件の証明可能性を確認し、取れる見込みが立たないときは、受任前にその旨を正直にお伝えする方針です。そのうえで、「いつから申請できるか」「それまでに何を貯めればよいか」を具体的にご案内します。
許可申請の報酬は、完全成功報酬(不許可なら報酬0円。ただし役所に納める実費は返還されません)です。だからこそ、見込みの立たない申請をおすすめすることはありません。
「前科があるから」「破産したから」「書類がないから」と、おひとりで諦めてしまう前に、一度だけ状況をお聞かせください。判断に必要なのは、正確な事実だけです。
よくあるご質問(許可が取れないとき)
Q役員に昔の前科があります。何年経てば許可を取れますか?罰金刑でもだめですか?
Q自己破産の経験があっても許可は取れますか?
Q経管・専技の経験を証明する書類が残っていない場合はどうすればいいですか?
Q一度不許可になると、次に申請するとき不利になりますか?
東大阪市の建設業者様は、東大阪市の建設業許可サポートのページもご覧ください。