なぜ元請は突然「許可を取ってほしい」と言うのか
法律だけを見れば、工事1件の請負代金が税込500万円未満の「軽微な工事」は、建設業許可がなくても請け負えます。それでも元請が許可を求めてくる背景には、元請側の事情の変化があります。
- 下請への指導が厳しく問われる時代に……元請は、現場に入る下請業者の法令遵守について指導する役割を求められており、施工体制の管理は年々厳しくなっています。
- 施工体制台帳で「誰が現場にいるか」が見える……一定規模の工事では、下請業者の許可の有無まで記載した台帳の整備が求められます。無許可の業者が現場に入ることは、元請にとって説明の必要な事項になります。
- CCUS(建設キャリアアップシステム)の普及……事業者や技能者の情報が登録されて見えやすくなり、体制の整った業者かどうかが判断されやすくなりました。
- 公共工事・大手の現場の方針……金額にかかわらず、現場に入る下請業者に許可を求める運用が広がっています。
つまり、元請はあなたの会社の腕を疑っているわけではありません。「無許可の業者には仕事を出しにくい」時代になった、というのが実情です。だからこそ、あわてて関係をこじらせるより、「いつまでに取れるか」を冷静に示すことが、いちばんの元請対応になります。
今すぐ取れるか——4つのセルフチェック
建設業許可(一般建設業・知事許可)を取れるかどうかは、主に次の4点で決まります。まずはご自身の会社を確認してみてください。
- ① 経営経験5年(経管)……役員や個人事業主として、建設業の経営経験が5年以上ある人が常勤でいますか。
- ② 技術者(営業所技術者等・いわゆる専任技術者)……国家資格を持つ人か、許可を受けたい業種の実務経験が10年以上ある人(指定学科の卒業で短縮あり)が営業所にいますか。
- ③ お金(財産的要件)……直前の決算で自己資本が500万円以上ありますか。足りなくても、金融機関の残高証明書(500万円以上)で証明する方法があります。
- ④ 社会保険……健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入していますか。何に入るべきかは建設業許可と社会保険で解説しています。
4つすべて「はい」なら、今すぐ申請の準備に入れる可能性が高い状態です。「いいえ」や「わからない」があっても、あきらめるのはまだ早いです。財産要件は残高証明でカバーできることがありますし、技術者の実務経験は、昔の請求書や注文書を掘り起こして証明できる場合があります。取れないと思い込む前に、建設業許可が取れないケースとはで「いつになれば取れるか」の考え方を確認してみてください。
このほか、欠格要件に該当しないこと・営業所があることなども必要です。要件の全体像は建設業許可の5つの要件のページで詳しく解説しています。
許可が下りるまでの間、今の仕事は続けていい?
結論から言えば、続けられます。ただし、範囲を正しく守ることが条件です。工事1件の請負代金が税込500万円未満の「軽微な工事」であれば、許可がなくても請け負えます(建築一式工事は1,500万円未満などの別基準があります)。
ここで、実務でとくに誤解の多い注意点が2つあります。
材料費は「込み」で判定……元請から材料の支給を受ける場合は、その材料の市場価格と運送費を請負代金に加えた額で判定します。「手間請けだから金額は小さい」とは限りません。
契約を分けても合算……1つの工事を2つ以上の契約に分けても、正当な理由がある場合を除き、合計額で判定されます。注文書を分割して500万円未満に見せるやり方は通用せず、無許可営業と判断されるおそれがあります。
この線を越えてしまうと、自社だけでなく元請にも迷惑がかかります。軽微な工事の考え方は500万円ルールと軽微な工事のページで詳しく解説しています。
最短でいつ許可が届くか——逆算スケジュール
大阪府の場合、申請書が受け付けられてから許可の通知書が発送されるまでの標準処理期間は、土日祝日を含めて30日とされています。ここに、申請前の書類準備の期間が加わります。
準備期間は会社の状況で大きく変わりますが、書類がそろいやすい会社で2週間〜1か月程度が目安です(一般的な目安です)。経営経験や実務経験の証明に昔の資料が必要な場合は、もう少しかかることもあります。
- 今月……要件の確認と、必要書類の収集を始める。
- 翌月……申請書を提出(受付)。ここから審査が始まります。
- 翌々月……許可の通知書が届く。
順調に進んだ場合で、動き出しから1か月半〜2か月程度が現実的な目安です。なお、審査の進み具合によって標準処理期間を超えることもあるため、元請に伝える時期には少し余裕を持たせておくと安心です。申請までの具体的な手順は建設業許可申請の流れのページをご覧ください。
元請への報告のしかた——時期を数字で伝える
元請が知りたいのは、責める材料ではなく「いつから安心して発注できるか」です。次の3点を押さえて報告すると、待ってもらいやすくなります。
- 時期を数字で伝える……「今月中に準備を始め、◯月に申請、その後約1か月で許可が下りる見込みです」のように、根拠のある時期を添えて報告します。
- 申請したら「控え」を示す……大阪府では、申請書類の申請者控えに受付印が押されて手元に残ります。これを示せば、申請済みで審査中であることを客観的に伝えられます。
- 当面取れない場合も、計画を添えて……経営経験があと1年足りないなどの場合は、「◯年◯月に要件を満たすので、その時点で申請します」と、満たすまでの道筋ごと伝えます。
他社の許可を借りる、資格者の名前だけを借りて常勤しているように装う——いわゆる名義借りは、虚偽申請として許可の取消しや罰則の対象になり、名義を貸した側も処分を受けます。発覚すれば、守りたかったはずの元請との関係も一度に失われます。どれほど急いでいても、選んではいけません。
急いでいる方こそ、まず無料相談を
当事務所は、東大阪を拠点に建設業許可に特化した行政書士事務所です。「元請から言われて急いでいる」というご相談では、最初のヒアリングで4つの要件の見込みを確認し、「いつ申請できて、いつ許可の見込みか」まで整理してお伝えします。元請への報告にそのまま使える見通しを持ち帰っていただくことが、初回相談のゴールです。
報酬は、新規許可(知事)130,000円(税込)です。このほかに、大阪府に納める実費90,000円がかかります。許可申請の報酬は完全成功報酬です(不許可なら報酬0円。ただし役所に納める実費は返還されません)。費用の詳細は建設業許可の費用のページをご覧ください。
よくあるご質問
Q500万円未満の工事しか請けていなくても、元請から切られることはありますか?
Q建設業許可は最短でどれくらいで取れますか?
Q経管や専技の要件が足りない場合、すぐ取る方法はありますか?
Q許可を申請中であることを元請に証明する方法はありますか?
東大阪市の建設業者様は、東大阪市の建設業許可サポートのページもご覧ください。