専任技術者(専技)とは?
専任技術者とは、営業所ごとに常勤で置く、技術面の責任者のことです。請負契約の見積りや契約の締結を技術面から適正に行うために、営業所にその業種の資格や経験を持つ技術者を置くことが求められています。なお、現在の大阪府の手引き(令和8年3月改定版)では「営業所技術者等」という名称に変わっています。本記事では、実務で広く使われている「専任技術者(専技)」の呼び方で解説します。
経営面の責任者である経営業務管理責任者(経管)と並ぶ、建設業許可の中心的な要件です。要件を満たしていれば、同じ人が経管と専技を兼ねることもできます。一人親方や小規模な会社では、代表者が両方を兼ねる形が一般的です。
専技になれる人——3つのルート
一般建設業の場合、次のいずれかを満たす人が専任技術者になれます。
- ① 国家資格を持っている……許可を受けたい業種に対応する資格(施工管理技士、建築士、技能検定など)を持っている。実務経験の証明書類が要らない資格が多く、もっとも分かりやすいルートです。ただし第二種電気工事士(免状の交付後に電気工事で3年以上の実務経験)や2級の技能検定(合格後に原則3年以上の実務経験)のように、資格を取った後の実務経験も証明が必要な資格があります。
- ② 指定学科の卒業+実務経験……許可業種に関係する学科(指定学科)を卒業していれば、実務経験が大学・短大・高専卒で3年・高校卒で5年に短縮されます。
- ③ 実務経験10年以上……資格も学歴もなくても、その業種について10年以上の実務経験があれば認められます。10年に届かなくても、業種によっては関連する業種と合わせた12年以上の経験(うちその業種で8年超)で認められる組み合わせがあります。たとえば内装仕上工事業なら「建築一式」か「大工」と、解体工事業なら「土木一式」「建築一式」「とび・土工」のいずれかと合わせて12年以上です。
技術検定の第1次検定に合格した方(技士補)は、指定学科の卒業と同等に扱われる緩和があります。1級の1次検定なら合格した後の実務経験3年、2級の1次検定なら合格した後の実務経験5年に短縮される場合があります(合格前の経験は数えません)。ただし、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園・電気通信の各工事業は、この短縮の対象外です。「資格試験は1次までしか受かっていない」という方も、あきらめずにご相談ください。
どの資格がどの業種に対応するかは細かく決まっています。お手元の資格証をLINEで送っていただければ、対応する業種をお調べします。
実務経験10年の「証明」がいちばんの山場
実務経験ルートの場合、経験があること自体ではなく、経験を書類で証明できるかが勝負になります。使うのは、その業種の工事の工期・工事名・工事内容・請負金額が分かる契約書・注文書・請求書・内訳書などです。証明したい期間をこれらの資料でカバーします。前の勤務先での経験は、原則としてその会社に証明者になってもらいます。その会社の工事の書類に加えて、在籍期間を年金の被保険者記録照会回答票や雇用保険被保険者証(離職している場合は離職票)で確認します。
ここで注意したいのが次の4点です。
- 経験期間は業種ごとに重複カウントできない……同じ10年間を「内装で10年」と「大工で10年」の両方に使うことはできません。実務経験だけで2業種を取るなら、原則として合計20年分の経験が必要です。
- 請負でない「常用」の仕事は認められない場合がある……日当で労務を提供する形の仕事は、請負の実績と扱われないことがあります。契約書や請求書の書き方がポイントになります。
- 工事と工事の間隔が1年以上空かないこと……各年の代表的な工事を1件ずつ示していきますが、ある年の工事と翌年の工事の間隔が1年以上空くと、その間の別の工事の実績も求められます。10年をつなぐには、毎年の実績が必要です。
- 電気工事・消防施設工事は免状が前提……この2業種は、電気工事士免状・消防設備士免状の交付を受けた方でなければ一定の工事に直接従事できません。そのため、免状の交付を受ける前の期間は実務経験として算入できないのが原則です。
「専任」=営業所に常勤していること
専任技術者は、その営業所に常勤して専らその職務に従事することが必要です。他社との兼務は原則として認められません。
また、専技は営業所にいることが前提なので、現場に専任での配置が求められる大きな工事の配置技術者とは、原則として兼ねられません。専任が求められない工事で、その営業所で契約し、現場が営業所の近くにあって常に連絡が取れる場合は、一定の条件のもとで兼ねられることがあります。専任が求められる工事でも、その営業所で契約した請負代金1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の工事なら、移動時間や連絡体制などの条件を満たせば、1つの現場に限って兼ねられる特例があります。現場との兼ね合いが心配な方は、受注の実態を伺ったうえでご説明します。
専技が欠けると許可を維持できません
専任技術者が退職などでいなくなると、代わりの人がいない場合、その業種の許可を維持できなくなります。交代したときは変更の届出(2週間以内)も必要です(変更届の一覧)。「専技が辞めるかもしれない」という段階で、早めにご相談いただくのが安心です。
よくあるご質問(専任技術者)
Q資格がなくても専任技術者になれますか?
Q実務経験10年はどうやって証明しますか?
Q2つの業種で許可を取りたい場合、実務経験は何年必要ですか?
Q専任技術者と経営業務管理責任者は同じ人でもいいですか?
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