建設業許可の「営業所」とは

建設業許可でいう営業所とは、請負契約の見積りや入札・契約の締結といった営業の実務を行う事務所のことです。大阪府の手引き(令和8年3月版)は許可の要件のひとつに「建設業の営業を行う事務所を有すること」を挙げています。

営業の実務を行う場所であることが前提なので、単なる連絡事務所や登記上だけの本店・支店、建設業と関係のない本店・支店は営業所に当たりません。登記上の本店と実際に営業している事務所が違うときは、申請書の表紙と申請者欄に両方の住所を2段で書きます。基準になるのは登記の住所ではなく、実際に見積りや契約などの営業を行っている場所です。

許可を受けるには本社や本店などの主たる営業所が必要です。支店などの従たる営業所を置く場合はそれぞれに支店長や営業所技術者等を置きます。従たる営業所が大阪府の外にあれば大阪府知事ではなく国土交通大臣の許可になります。

大阪府の手引きが定める営業所の要件

手引きでは、営業所は原則として次のすべてに当てはまる必要があるとされています。

支店を置かない会社や一人親方なら最後の項目は関係ありません。申請の前に整えておくのは、使う権限・商号の表示・設備・技術者の常勤の4つです。技術者の要件は専任技術者とはのページで解説しています。

自宅を営業所にできる?

手引きの要件に「自宅は不可」という項目はありません。自宅の一室でも上の要件を満たしていれば営業所として申請できます。一人親方の許可の取り方は一人親方でも建設業許可は取れる?のページをご覧ください。

本人や役員の名義なら「自己所有」

新規の申請では営業所概要書という書類に建物の使用権利関係を記載します。申請者が建物の2分の1以上を所有していれば「自己所有」です。ここでいう申請者には法人の役員や個人の事業主・支配人も含まれます。社長が自宅の建物を2分の1以上持っていれば、会社の営業所にする場合も自己所有に当たります。

自宅で整えておくこと

自宅の場合に準備が要るのは入口の表示と事務所の設備です。表札や郵便受けで商号が分かるようにし、固定電話・事務機器・机をそろえます。

生活のスペースとどこまで分ける必要があるかについて、大阪府の手引きに具体的な基準は書かれていません。申請では事務所の内部を写真で出し、固定電話・事務機器・机などが判別できることが求められます。部屋の使い方に不安がある場合は申請前に府への確認が必要です。

賃貸・親の家・関係会社の建物は「使用承諾」を確認

借りている建物や自分の名義でない建物を営業所にするときは、使用権利関係の区分に注意が必要です。手引きの区分は「自己所有」「賃貸等」「その他」の3つです。

賃貸は契約書の「使用目的」を見る

申請者が建物を事務所として借りていれば「賃貸等」です。一方で賃貸借契約書の使用目的が居住用に限られている場合や事務所としての使用が禁止されている場合は、契約書だけでは事務所として使う権利が確認できません。このときは、使用承諾書など賃貸借契約以外の書類で事務所としての使用が認められていることを営業所概要書に記載します。

手引きの記載例では、賃貸の物件で契約上「居住のみ」とされている場合、「賃貸等」に丸をしたうえで「その他(使用承諾)」と記載しています。まず手元の契約書の使用目的欄を確かめます。居住用のみなら、事務所として使うことの承諾を貸主から書面でもらっておきます。

名義が申請者でない建物

次のような場合も「その他」として使用承諾などがある旨を記載します。

会社の場合も、建物の持ち主が役員ではない親族(社長の親など)であれば自己所有には当たりません。関連会社や株主が所有したり借りたりしている事務所に同居する場合は、「自己所有」または「賃貸等」と「その他」に丸をして「その他(同居承諾や使用承諾)」と記載する例が手引きに示されています。

権利関係の記載に加えて、必要に応じて不動産の登記簿謄本・賃貸借契約書・使用承諾書などの提示を求められることがあります。建物の登記簿謄本のようにこちらで取得できる書類は代行取得します。賃貸借契約書や貸主の使用承諾書など、お手元にある書類や貸主から受け取る書類はご用意いただきます。

親の家が営業所で、本人は離れて住む場合

経営業務管理責任者(経管)や営業所技術者等を務める方が営業所から離れて住んでいる場合は、通勤の実態も見られます。手引きには住所が営業所から遠く常識的に毎日通えない場合は常勤と認められない例が挙がっています。通勤に1時間半以上かかると思われる場合の確認書類として、6か月分以上の通勤定期券などの例も示されています。住民票の住所と実際に住んでいる場所が違う場合も別に確認書類を求められます。

バーチャルオフィスや携帯電話だけの場合は?

大阪府の手引きには、バーチャルオフィス・レンタルオフィス・シェアオフィスについての個別の記載はありません。使えるとも使えないとも書かれていないため、判断の軸はここまでの要件になります。確認されるのはたとえば次の点です。

住所や郵便の受け取りだけを借りる形では、これらをどう満たすのかを示す必要があります。契約の内容によって事情が変わるため、営業の実態を示せるかどうか申請前に府へ問い合わせておく必要があります。ご相談では契約の内容を伺い、確認が必要な点を整理してご説明します。

固定電話がなく携帯電話だけの場合

手引きの文言は「固定電話」です。携帯電話や050で始まるIP電話だけで足りるかどうかは書かれていないため、これも申請前の確認が必要です。

玄関や郵便受けに商号を出せない場合

マンションの規約などで玄関や郵便受けに商号を出せない事情があるときも同じです。どこまでの表示で足りるかは手引きに書かれていないため、事前の確認が必要です。

営業所の写真は申請前3か月以内に撮影

使用権利関係を書く営業所概要書には営業所の写真を貼ります。手引きによると、この書類は経管や営業所技術者等・支店長などが常勤する勤務場所を確認するためのものです。

貼るのは申請直前の3か月以内に撮影したカラー写真4枚程度です。次の3つが判別できるように撮ります。

有効な許可をすでに持っている場合は、掲げている許可票を内容がすべて読めるように拡大した写真も貼ります。

写真が要る場面
新規の申請と、許可後に営業所を移したとき

大阪府の手引きの書類一覧では、写真を貼った営業所概要書を出すのは新規の申請と許可換え新規(他府県の許可などから大阪府の許可に移る申請)です。更新や業種追加では不要とされていますが、疑義があれば権利関係の書類の提示を求められることがあります。許可のあとに営業所を移転したときは変更届に移転先の写真を貼って出します。

撮影の前に入口の表示と室内の固定電話・机などをそろえておきます。写真は申請前3か月以内のものが必要なので、準備が整ってから撮り、3か月以内に申請するのが無駄のない順番です。

受付のあとも営業所は確認されます

営業所の確認は申請の窓口で終わりではありません。受付のあとも審査で疑問が生じれば、追加の書類を求められたり営業所の確認調査が行われたりします。

許可の通知書の届き方
通知書は「転送不要」の郵便で営業所に届きます

大阪府は許可の通知書を、営業所の確認のため申請者の営業所(本店)あてに「転送不要」の普通郵便で送ります。代理人が受け取りを任されていても、代理人には渡されません。営業所の住所に郵便の転送手続きをしていると通知書は届きません。返送された場合は府の職員が営業所の確認調査を行い、実態が確認できてからの再送付になるため相当の期間がかかります。確認調査で営業所の実態が確認できない場合は、許可を取り消すことがあるとも手引きに書かれています。

許可後に移転したら30日以内に変更届

許可を受けたあとに営業所を移転したときは、移転の日から30日以内に変更届を出します。主な書類は変更届出書と、登記に変更があれば商業登記簿謄本(発行から3か月以内の原本)、そして営業所概要書です。営業所概要書には移転先の建物の全景・入口・内部と掲げた許可票が分かる写真を貼り、自己所有か賃貸借かなどの権利関係を記載します。

移転で社会保険の事業所番号が変わる場合は健康保険等の加入状況の変更届も必要です。こちらは手引きの区分では事実の発生から2週間以内の届出で、移転の届出より期限が短くなります。電話番号だけが変わったときも30日以内の変更届が要ります。大阪府の外へ営業所をすべて移す場合は変更届ではなく、移転先の都道府県知事への新規の許可申請(許可換え新規)になります。

変更届を出していないと許可の取消の対象になるほか、更新や業種追加の申請ができなくなります。届出の期限は内容によって2週間以内と30日以内に分かれますので、全体は変更届の一覧でご確認ください。

よくあるご質問(営業所の要件)

Q自宅でも建設業許可は取れますか?
大阪府の手引きに自宅だからという理由で認めない定めはありません。その場所を常時使用する権限があること、入口などで商号が確認できること、固定電話・事務機器・机などを備えていること、技術者が常勤していることといった要件を満たせば、自宅の一室でも営業所として申請できます。
Q賃貸の契約が「居住用」でも営業所にできますか?
使用目的が居住用に限られた契約では、契約書だけでは事務所として使う権利が確認できません。貸主の使用承諾書などで事務所としての使用が認められている場合は、営業所概要書の「賃貸等」に丸をしたうえで「その他(使用承諾)」と記載します。
Qバーチャルオフィスで許可は取れますか?
大阪府の手引きには、バーチャルオフィスやシェアオフィスについての個別の記載はありません。常時使用する権限や商号の表示、固定電話・机などの設備、技術者の常勤といった要件に照らして判断されるため、営業の実態を示せるかどうか申請前に府へ問い合わせておく必要があります。
Q固定電話は必要ですか?
手引きの要件は「固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること」です。携帯電話や050で始まるIP電話だけで足りるかどうかは手引きに書かれていないため、申請前に府への確認が必要です。
Q許可後に事務所を移転したら何が必要ですか?
移転の日から30日以内に変更届を出します。移転先の建物の全景・入口・内部と掲げた許可票が分かる写真を貼った営業所概要書などが必要です。大阪府の外へ営業所をすべて移す場合は変更届ではなく、移転先の都道府県知事への新規の許可申請(許可換え新規)になります。

当事務所の報酬は、大阪府知事の新規許可が120,000円〜(税込)で、別に大阪府へ納める手数料(実費)が90,000円かかります。許可申請は完全成功報酬で、許可が下りなければ報酬はいただきません(実費は返還されません)。営業所の移転などの変更届は20,000円〜(税込)で、完了後のお支払いです。詳しくは報酬一覧をご覧ください。営業所にできるかの確認は無料です。事務所の入口と室内の写真、借りている場合は賃貸借契約書の使用目的の欄をLINEで送っていただければ、そこから確認を始められます。